長坂養蜂場の夏の定番ドリンクといえば、三ヶ日みかん熟しぼりと青しぼり!三ヶ日の豊かな自然からの贈りものを毎年楽しみにしている方も多いのではないでしょうか。
そんな三ヶ日みかんジュースは、長坂養蜂場の三代目・長坂善人が入社して初めて手がけた“第一号商品”であることはあまり知られていません。
以前のコラム「おいものお・も・い♡」と同様に、三ヶ日みかんジュースのルーツも、長坂善人の幼少期までさかのぼります。今回は、とくに色々な想いの詰まった「三ヶ日みかん青しぼり」の誕生秘話を紐といていきます。


1.幼・少年時代~

幼少期の長坂善人はご多分にもれず、子どもに人気のスナック菓子や炭酸飲料が好きでしたが、家族みんなの健康を考えたお母さん(マザー・タカコ)のまっすぐな愛情で、長坂家でそれらを口にすることはありませんでした。それらの美味しさは、友だちの家でこっそり覚えたんだとか(笑)。
毎夏、長坂家の定番ドリンクは、マザー・タカコの手しぼりの青みかんジュース!子どもながらに味は美味しいと思っていたものの、「えーっ!また青みかんジュースかぁ…」と毎回の登場に飽き気味だったのが本音のよう。そんな“はちみつのある暮らし”は高校生まで続きました。

一変して、親元を離れた大学生と社会人の数年間は、はちみつとは距離を置いて、幼少期には許されなかったスナック菓子や炭酸飲料をはじめ、いま考えれば健康とはほど遠い生活をしていたようです。

マザー・タカコの膝の上でおとなしくしている社長・善人(兄/写真右)の写真を、涼しい顔して写っている専務・恭輔(弟/写真左)からこっそり入手!皆さま、幼少期の超激レア写真です!社長に気づかれる前に、ぜひご覧ください(笑)


2.修行時代

そんなとき、転機が訪れます。家業の長坂養蜂場を継ぐことになったのです。さらに、長坂養蜂場に入社するまでの2年間、武者修行に行くことに。養蜂家さんの所での養蜂修行もありました。そこで、はちみつのイロハを徹底的に学びました。来る日も来る日も、はちみつと向き合う貴重な時間を重ねていきました。

ついに、その修行を通して身にしみて知ることになるのです。
はちみつとは「ミツバチと自然がつくり出す天然の甘味料」であることを!
幼少期には気にも留めていなかった「はちみつはカラダに良い」ということを!
青みかんジュースは美味しいけれど、たびたびの登場にうんざりすることもあった「幼少期の母からの愛情」を!
今では当然のように思っていることを心から実感した瞬間でした。


3.ながさか入社・商品づくり

長坂養蜂場に入社(のちに、三代目就任)。新たな商品を開発するとなったとき迷いはありませんでした。長坂家の「はちみつのある暮らし」を思い出したら、「まずは、これしかない!」と。幼少期の毎夏の想い出をまるごと商品化しようと決意しました。

開発を始め、さっそく壁にぶつかります。それは、「三ヶ日みかん青しぼり」の原料である青みかんを安定供給していただくこと。青みかんとは、みかんがしっかりと育つように夏場に間引きする摘果みかん。幼少のころは、家族で飲む分の量だけでよかったのですが、商品化となるとそうはいきません。本来、農家さんが捨てるはずの摘果みかんを通常のみかん同様に、収穫する仕組みをつくらなければなりませんでした。なかなか容易なことではありません。手間のかかるものをどうやって一定量集めるかが課題でした。


4.奇跡の出会い

そこに、救世主あらわれます。三ヶ日みかんの農家さん有志が集まる「只木マルエム柑橘同志会(ただきまるえむかんきつどうしかい)」の皆さま。青みかんを収穫するのにいちばん良い時期を考え、長坂養蜂場が希望する必要量を収穫していただけるということ。さらに、それを毎年継続的に対応していただけるということ。只木マルエム柑橘同志会さまのおかげで、青みかんを一定量収穫し続ける目途がつきました。当時を振り返る長坂社長は言います。「今回のご縁、本当にありがたかったな。」と。

ついに、お客様や長坂養蜂場、そして捨てるはずの青みかんを活かして農家さんにも喜んでいただくという、まさにながさかの「創業の精神」のひとつ『三方よし』に沿った商品化に成功したのです!

只木マルエム柑橘同志会の皆さま。16戸の農家さんが自分の取り組みを披露したり、アドバイスをし合ったり…切磋琢磨する熱い熱い方々です!


5.これまでの感謝とこれから

今期創業83周年(はちみつイヤー)、長坂養蜂場は地域の皆さまの支えあってここまで来れました。ほんとうに感謝でいっぱいです!

いまでは、お母さん(マザー・タカコ)の青しぼりのレシピを社長の妻(さとこさん)が受け継いでいます。
夏には社長の子どもたちが、われ先にとみかん搾り器を取り合って青みかんをしぼって、ジュースやゼリーをつくります。
親から子、そして孫へ ―― 3世代で楽しむ変わらない味。

これからも、長坂養蜂場の「創業の精神」を大切に、ぬくもりあふれたはちみつのある暮らしを皆さまにお届けしてまいります。


【profile】
ぬくもりWebディレクター
清 真一朗 Shinichiro Sei
静岡市から電車で片道2時間半かけて毎日三ヶ日に通う自称旅人。甘いものとお酒が大好きな二児の父。毎日の運動量を超えるアルコール摂取で、ぽっちゃり体型を隠し切れないのが唯一の悩み。